2020.12.16 断熱工事
【断熱リフォーム】8種類の断熱材を比較!選ぶポイントは 性能・価格だけじゃない!
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【断熱リフォーム】結露も防いで快適になる、窓ガラス・サッシの選び方
ひと言に「断熱」と言っても、住宅の断熱にはいろいろな種類と方法があり、断熱効果を考えるとリフォーム箇所の優先順位が重要になります。前回は断熱リフォームの最重要ポイントである窓のリフォームについて、「窓ガラス」「サッシ」の種類と特徴についてお話ししました。
今回は、壁・天井・床への断熱材施工について、「断熱材」の種類と特徴を紹介していきます。
断熱材の種類
断熱材には大きく分けて無機繊維系・木質繊維系・自然系・発泡プラスチック系があります。
それぞれの特徴をお話ししていきましょう。
※表に出てくる「熱伝導率」は低いほど断熱効果が高くなります。
無機繊維系
無機繊維系とは、ガラスや石などの鉱物を人工的に加工して作られた断熱材です。
グラスウール
グラスウールは、ガラスを溶解した繊維からできた綿状の素材です。
コスパが良く昔からよく使われますが、湿気に弱いので結露に注意が必要です。正しい施工がされていないとカビの原因となったり、断熱材が潰れるため断熱性能が落ちるといったことがあります。また、マットタイプのグラスウールは丁寧な施工がされていないと、筋交いやコンセント部分などに隙間が発生し、断熱効果の低下や結露ができてカビの発生に繋がります。
住宅における断熱が注目される昨今では、グラスウールの高性能タイプの使用がスタンダードとなっています。こちらは断熱性能・価格ともにアップします。
断熱性(熱伝導率)
(0.05~0.036) |
価格
◎ |
防音性
◯ |
不燃性
◯ |
調湿性
× |
防虫性
× |
ロックウール
ロックウールは、玄武岩や天然岩石を溶解した繊維からできた綿状の素材です。
グラスウールと比べると値段は少し高めで、撥水性があるので断熱材が潰れずらいのですが、水に濡れると断熱性能が落ちてしまうので内部結露(床下・壁体内・天井裏などで発生する結露)に注意が必要です。グラスウールより吸音性に優れ、不燃性もあります。こちらもマットタイプは、丁寧な施工がされていないと筋交いやコンセント部分などに隙間が発生し、断熱効果の低下や結露ができてカビの発生に繋がります。
断熱性(熱伝導率)
(0.038) |
価格
◎ |
防音性
◯ |
不燃性
◯ |
調湿性
× |
防虫性
× |
木質繊維系
木質繊維系とは、木材や木材を原料とする素材を加工して作られた断熱材です。
セルローズファイバー
セルローズファイバーは、古紙や未使用新聞紙の繊維からできたバラ綿状の素材です。
値段は高めですが、断熱性・調湿性・不燃性・吸音性に優れ、防虫・防カビに優れており、結露も起こりづらい断熱材です。
施工方法は、専用の機械を使ってシートを張った壁にセルローズファイバーを吹き込むので、筋交いやコンセント部分も隙間なく施工できます。こちらも施工がきちんとされていないと、シート内でセルローズファイバーが沈下して、隙間が発生してしまいます。
断熱性(熱伝導率)
(0.04) |
価格
△ |
防音性
◎ |
不燃性
◯ |
調湿性
◯ |
防虫性
◯ |
自然系
自然系とは、羊の毛やコルクなど自然素材から作られた断熱材です。木質繊維系のものも自然系であると言えます。
羊毛(ウール)
羊毛(ウール)は、羊の毛とポリエステルやトウモロコシの繊維からできた綿状の素材です。
値段は高めですが、調湿性に優れており商品によっては防湿シートを使用せずに施工できるので、コストカットが見込めます。断熱性・調湿性・難燃性・吸音性・防虫に優れ、結露が起こりづらい断熱材です。こちらもマットタイプは、丁寧な施工がされていないと筋交いやコンセント部分などに隙間が発生し、断熱効果の低下に繋がります。
断熱性(熱伝導率)
(0.04) |
価格
◯ |
防音性
× |
不燃性
◯ |
調湿性
◯ |
防虫性
◯ |
発泡プラスチック系
発泡プラスチック系とは、石油が原料となっており独立した小さな気泡の中にガスを閉じ込めた断熱材です。シロアリの被害を受けやすいので、特に基礎断熱では防蟻処理が施された商品を使うなど対策が大切です。
押出法発泡ポリスチレン
押出法発泡ポリスチレンは、ポリスチレンを原料とし発泡剤・難燃剤を加えた板状の素材です。
次に出てくるビーズ法よりも断熱性は高く、熱には弱いが水や湿気に強く基礎断熱や外断熱によく使用されます。シロアリ被害の報告もありますので、防蟻性能のある商品を選びましょう。
断熱性(熱伝導率)
(0.04~0.024) |
価格
◯ |
防音性
△ |
不燃性
× |
調湿性
× |
防虫性
× |
ビーズ法ポリスチレン
ビーズ法ポリスチレンは、ポリスチレンを原料とし発泡剤・難燃剤を加えた板状の素材です。
原料は押出法と同じですが、こちらはビーズ状にしたものを板状に成形しています。一般的に発泡スチロールと呼ばれます。押出法にはわずかに劣りますが断熱性は高く、熱には弱いが、水に強い断熱材です。シロアリ被害の報告もありますので、防蟻性能のある商品を選びましょう。
断熱性(熱伝導率)
(0.041~0.034) |
価格
◯ |
防音性
△ |
不燃性
× |
調湿性
× |
防虫性
× |
ウレタンフォーム
ウレタンフォームは、板状に形成されたものと現場発泡(スプレーするとウレタンが膨らみ自己接着)するものがあります。
気密性・断熱性が高く、薄くても効果を発揮します。熱に弱いので火事などで壁が燃えていなくても内部で断熱材が縮んでしまったり、燃えた時には有毒ガスが発生します。価格は高いですが、水に強い断熱材です。シロアリ被害の報告もありますので、防蟻性能のある商品を選びましょう。
断熱性(熱伝導率)
(0.04~0.023) |
価格
◯ |
防音性
△ |
不燃性
× |
調湿性
× |
防虫性
× |
フェノールフォーム
フェノールフォームは、フェノール樹脂(鍋やフライパンの持ち手などに使われる)からできた板状の素材です。
断熱性は断トツに高く、薄くても効果を発揮します。熱に強く燃えにくいですが、価格が高い断熱材です。シロアリ被害に注意が必要です。
断熱性(熱伝導率)
(0.036~0.022) |
価格
△ |
防音性
× |
不燃性
◯ |
調湿性
× |
防虫性
× |
断熱材の性能と厚み
紹介したように、断熱材には多くの種類があります。
ここでは特徴以外の検討材料になる、断熱性能と厚みについてお話していきます。
断熱材の性能とは
「どんな断熱材がいいのか?」・・・もちろん断熱性能の良いものを選びたいですよね。
断熱性能を比較するには、上の比較表にもありましたが熱伝導率というものをチェックします。
熱伝導率とは、熱の伝わりやすさ。よって、熱伝導率が低いものの方が断熱性能が高いということになります。
断熱材の厚み
性能の良いもの=熱伝導率の低いものを選ぶこと は、断熱材を選ぶモノサシになります。しかし注目すべきは熱伝導率の低さだけではありません。
熱伝導率の低い断熱材でも、適切な厚みがないと断熱効果は発揮できませんし、その逆に熱伝導率が低くても厚みをとることで断熱効果がアップするのです。
まとめ
断熱材選びには
断熱材の特徴を把握することが大切!
断熱材の熱伝導率の低いものが、断熱性能が高いと言える!
断熱材の厚みをとることで、断熱効果を上げることができる!
性能も価格もあれもこれも完璧な断熱材はありません。だからこそメリット・デメリットを理解して、ご自分の納得のいく断熱材を選びましょう!
リフォームの場合にはご希望の断熱材では施工が出来ないこともあります。お悩みを相談し、きちんと現場調査をしてもらってから、納得のいく断熱リフォームを進めていただきたいと思います。
テオリアランバーテックでは、セルローズファイバーを使用した断熱リフォームを行っております。
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気になることがありましたら、お気軽にテオリアランバーテックまでお問い合わせくださいませ!(^^)/
執筆者
Ikeda |
寒さは苦手な夏生まれ女子。断熱・シロアリ・エクステリアを勉強中。 ふわふわかわいい?『セルローズファイバー』、寒い住宅の原因や対策などなど・・・ 体もお財布も温める情報を発信していきます! |