先週3月28日(金)に長野市にあるホテル「メルパルク長野」にて、建築士会主催の「断熱・省エネシンポジウム」が開催されました。こちらは長野県庁がこの4月より戸建住宅の建築に関して施主に義務化する「建築物環境エネルギー性能検討制度」に伴って開催されました。「建築物環境エネルギー性能検討制度」は、住宅の設計・施工の請負や販売を行う事業者が、建物のエネルギー消費量やCO2排出量、環境配慮措置などについて評価した結果を、ユーザーやオーナーなどの建築主にわかりやすく説明することを義務付けていて、評価にあたっては、CASBEE、QPEX、エネルギーパス、一次エネルギー消費量計算プログラムのいずれかを利用することになっています。尚、クリアしなければならない性能水準等は特に設けていないのも特徴です。

当社はNPO法人新木造住宅技術研究協議会(新住協)長野支部事務局を長い期間やらせて頂いています。長野県庁のこれらの取組に対して、早い段階からQPEXを紹介し、諮問委員会で審議頂いた結果、省エネ見える化ツールに認めて頂いた経緯があります。

QPEXは新住協で開発したQ値をEXCELで計算できるProgramという意味のソフトです。EXCELのマクロを利用し、誰でも簡単に選んで入力することで熱損失係数を計算できます。また、全国のアメダス観測地点の暖房デグリデー(その土地の暖房の量を積算したもの=その土地の寒さ)と日射量を全てデータとして背負っていますので、熱損失計算以外にどの位内部取得熱(日射)を得られるか、どの程度の暖房の容量が必要か、自然温度差(暖房なしで部屋温度が何度になるか)、燃費が幾らか(灯油量や電力量など)、CO2排出量はどの程度かが、データを更新すればその場で瞬時に結果が変わり施主様と仕様と燃費を見比べながらコミュニケーション出きるソフトです。

実は長野県庁に認定して頂いたQPEXは「2.73」というバージョンで、こちらは新住協会員外にも@¥5000で販売してきました。しかしながらVer2シリーズは、今後の改正省エネで必要な「U値とη値」が表示されないのです。(換気の熱損失を含めた総熱損失量Qallが表示されているので、それを床面積で割ったのがQ値で、外皮面積で割ったのがU値ですから、計算出来ないわけではないんですが、認定機関に提出する計算結果にバッチリ表示されないと、実務者的には困るんですよね・・・)

それを解消したのがQPEX3.21(Ver3シリーズ)です!!

熱計算プログラムQPEX

熱計算プログラムQPEX

こちらはVer2シリーズで出来たこと以外に、窓のU値を一窓毎にISO基準で出せます。ガラス・枠・スペーサー・内部ガスなどの性能や見付面積などにこだわって設計する方には重宝します。また今回は冷房についても検討できるようになりましたので、年間冷暖房費のシュミレーションにはバッチリです(しかもグラフ表示します)。熱容量の計算もできます。当然、U値とη値が算出できますので、建築研究所が出している一次エネルギー算定プログラムにU値とη値を入れてその他の設備の条件を入力すれば、省エネルギーラベルまで出すことが出来ます。

省エネラベル

省エネラベル

QPEXVer2は@¥5000で会員外の方に比較的簡単にお売りしていましたが、違法コピーが多く見受けられ、購入していない方からのお問い合わせも多く大変だったことから、Ver3シリーズは会員向けの配布に限定する方針でした。この場合、新規会員の方は入会金1万円+年会費4万円で入会でき、入会するとQPEXVer3が配布される仕組みです。

今回、建築士会「断熱・省エネシンポジウム」で講演頂いた室蘭工業大学・名誉教授で新住協代表理事の鎌田紀彦先生が発表したところでは、長野県には今回の建築物環境エネルギー性能検討制度でQPEXver2を購入頂いた方も多く居らっしゃるので、団体割引として会員にならずとも¥30000で購入できるように来年度以降準備をしているそうです。もちろんサポート付きです。

会場では4月1日から全国書店で販売される新住協の新刊「燃費半分で暮らす家」が販売されました!通常は@¥1500(税別)ですが、今回は税サービスで完売いたしました。

燃費半分で暮らす家

燃費半分で暮らす家

現在、Amazonで検索してみましたが、検索結果に載ってきませんでした・・・  ご興味ある方は当社の営業担当者に言って頂ければお貸し出来ます。

建築士会主催「断熱・省エネシンポジウム」において、鎌田先生が説明された内容は詳しくこの本「燃費半分で暮らす家」に書かれております。最近お問い合わせが多い「床下エアコン」についいても書かれています。

当社としては建築技術者の皆さんに便利で分かりやすいツール等の紹介も今後も行って参りたいと思います。